ヤン・ドリュー / ナイト・コースト・2020
2017年から造られているキュヴェで、今回が4回目のリリース。 オート コート ド ニュイの畑から収穫された葡萄を使用し、ステンレスタンクで発酵熟成。1ヶ月間のマセラシオン。キュヴェ名が英語表記なのは、ヤン曰く「樽を使っていないから」との事。 ちなみにラベルのデザインは「夜は高くつくだろ」と言いつつ、ニヤッと笑っていましたので、そういうニュアンスを汲み取って下さい。
抜栓したては若干還元していますが、数分スワリングするだけで飛ぶ程度。赤系ベリーや苺の香りに加え、煮詰めたようなジャムのニュアンスも感じられます。 味わいは、甘い果実のフレーヴァーを強く感じますが、岩盤に近いところまで根を伸ばしたと感じられる、樹齢の高いワイン特有の硬質なミネラルもドンッと鎮座しているため、ベタ付いた感じは微塵もありません。 アフターに感じるちょっとしたタンニンが全体を引き締めており、ダレたニュアンスは感じられません。 柔らかい果実味が心地良く、良い意味でスルスルと喉を通る、飲み手をリラックスさせてしまう危険な緩さを持ったキュヴェです。
【ドメーヌ説明】
ヤン ドゥリューは、オート コート ド ニュイのエリアでニュイ サン ジョルジュとアロース コルトンの間に位置するヴィレ=ラ=フェイ村を中心にワイン造りを行なっています。2010年がデビューとなるヴィンテージで、3haほどの広さの畑から革命的なワインを生み出しています。
ジュアリン ギュイヨの下で7年間ワイン造りを学び、その後、DRC社の共同経営者としても知られる、故アンリ フレデリック ロック氏のドメーヌ プリューレ ロックで2008年から栽培を担当していました。彼は、自身のワインをリリースするようになってからも、プリューレ ロックでの仕事を続けており、ロックでの仕事を終えた後や休日などを利用してブドウを育て、ワイン造りに取り組んでいた情熱ある生産者です。ブルゴーニュでも比較的注目されていない土地の中から、可能性を秘めたテロワールを発掘し、その土地で素晴らしいワインを生み出すことに情熱を注いでおり「ブルゴーニュには、今評価されている区画以外にも、誰も挑戦していないけれど素晴らしい可能性を秘めた土地、テロワールがある。僕の人生はそういった土地を発掘し、素晴らしいワインを生み出すこと。」と言います。
そんな彼のアンテナにキャッチされたのがオート コート ド ニュイという地域。オート コートという格下に見られがちなこの土地で、徹底的にテロワールの可能性を引き出し、従来の常識を凌駕するワインをファースト ヴィンテージから生み出すことに成功し、ブルゴーニュという、ともすれば保守的になりがちなこの土地で、ここまでリスクを取る覚悟を決めたワイン造りに取り組むヤンドゥリュー。その結果は、ボトルに詰められたワインからしっかりと感じることができます。
「攻めた」といってもあらゆる要素が完璧なバランスのブドウから造られるワインは、豊富なミネラルと芯のある果実味があり、非常に端正で美しさのある味わいで、不安定さとは無縁です。ロックやパカレに通じる雰囲気もありますが、その偉大な先輩たちすらも持っていない「明るさ」も備えていて、気難しさはなく常に外向的で人懐っこい味わいを楽しませてくれます。そのワインから感じる「明るさ」が、造り手本人に会った際に感じる人柄とシンクロしているというのも興味深い点で、実際ヤン ドゥリューは笑顔を絶やすことのない好青年という雰囲気でした(ただし腰まで伸びたドレッド系の髪ともじゃもじゃの髭というファンキーな風貌でもあります)。
彼に理想のワインの姿を尋ねると「その日最初に飲むワイン、朝起きて最初に口にして清々しい気持ちにさせてくれるワイン」と答えてくれました。その明るく、清々しいワインを生み出すために、自分自身のすべてをワインに注ぎ込んでいるヤン。思わず踊りだしたくなる「明るさ」を備えた新時代のブルゴーニュワイン。パリ中のカヴィストやソムリエが話題にするヤン ドゥリュー!新しいブルゴーニュワインへの扉を開けてくれます。
フランス・ブルゴーニュ 赤 ピノノワール