ヤンドリュー ラ・グゾット2018
産地:フランス ブルゴーニュ地方
品種:ピノ ノワール
粘土石灰質のオート コート ド ニュイの複数にまたがる区画から樹齢15〜20年のピノ ノワールをキューヴ タンクで発酵熟成させたキュヴェ。1ヶ月間のマセラシオン。グゼットとは、昔ブルゴーニュで収穫に使用していた器具のことで、引っ掛けて葡萄を収穫する道具の事。手頃に飲んでもらいたい、フルーティーなキュヴェとの位置づけと考えており、上級ラインのキュヴェを飲んで貰う前の、入門用ワインとしての意味合いで造られました。ヤン曰く「僕の名刺代わりだ」との事。
淡いルビー色の外観。フレッシュなイチゴやラズベリー、さくらんぼの香りが立ち上ります。時間の経過とともに岩のようなミネラルを感じるチョークのニュアンスやロックっぽいシャンピニオン香も出てきます。とてもフレッシュかつエレガントな味わいで、今直ぐに飲むことも出来ます。フレッシュで活き活きした果実のニュアンスを楽しめる、キュヴェ名の通り、鋭く洗練されたワインです。
【ドメーヌ説明】
ヤン ドゥリューは、オート コート ド ニュイのエリアでニュイ サン ジョルジュとアロース コルトンの間に位置するヴィレ=ラ=フェイ村を中心にワイン造りを行なっています。2010年がデビューとなるヴィンテージで、3haほどの広さの畑から革命的なワインを生み出しています。
ジュアリン ギュイヨの下で7年間ワイン造りを学び、その後、DRC社の共同経営者としても知られる、故アンリ フレデリック ロック氏のドメーヌ プリューレ ロックで2008年から栽培を担当していました。彼は、自身のワインをリリースするようになってからも、プリューレ ロックでの仕事を続けており、ロックでの仕事を終えた後や休日などを利用してブドウを育て、ワイン造りに取り組んでいた情熱ある生産者です。ブルゴーニュでも比較的注目されていない土地の中から、可能性を秘めたテロワールを発掘し、その土地で素晴らしいワインを生み出すことに情熱を注いでおり「ブルゴーニュには、今評価されている区画以外にも、誰も挑戦していないけれど素晴らしい可能性を秘めた土地、テロワールがある。僕の人生はそういった土地を発掘し、素晴らしいワインを生み出すこと。」と言います。
そんな彼のアンテナにキャッチされたのがオート コート ド ニュイという地域。オート コートという格下に見られがちなこの土地で、徹底的にテロワールの可能性を引き出し、従来の常識を凌駕するワインをファースト ヴィンテージから生み出すことに成功し、ブルゴーニュという、ともすれば保守的になりがちなこの土地で、ここまでリスクを取る覚悟を決めたワイン造りに取り組むヤンドゥリュー。その結果は、ボトルに詰められたワインからしっかりと感じることができます。
「攻めた」といってもあらゆる要素が完璧なバランスのブドウから造られるワインは、豊富なミネラルと芯のある果実味があり、非常に端正で美しさのある味わいで、不安定さとは無縁です。ロックやパカレに通じる雰囲気もありますが、その偉大な先輩たちすらも持っていない「明るさ」も備えていて、気難しさはなく常に外向的で人懐っこい味わいを楽しませてくれます。そのワインから感じる「明るさ」が、造り手本人に会った際に感じる人柄とシンクロしているというのも興味深い点で、実際ヤン ドゥリューは笑顔を絶やすことのない好青年という雰囲気でした(ただし腰まで伸びたドレッド系の髪ともじゃもじゃの髭というファンキーな風貌でもあります)。
彼に理想のワインの姿を尋ねると「その日最初に飲むワイン、朝起きて最初に口にして清々しい気持ちにさせてくれるワイン」と答えてくれました。その明るく、清々しいワインを生み出すために、自分自身のすべてをワインに注ぎ込んでいるヤン。思わず踊りだしたくなる「明るさ」を備えた新時代のブルゴーニュワイン。パリ中のカヴィストやソムリエが話題にするヤン ドゥリュー!新しいブルゴーニュワインへの扉を開けてくれます。
【ヤン本人によるヴィンテージ解説】
*2014ヴィンテージ
いわゆるブルゴーニュ人が喜ぶ、クラシックなブルゴーニュタイプのヴィンテージ。良い意味ですべての要素が程よく、球体のように素晴らしくバランスが取れていて、収穫量は9月の雨で少し複雑な状況になり、収穫時期にはスズキドロソフィラの襲来で、数量が大幅に減少してしまった悲しいヴィンテージ。
*2015ヴィンテージ
僕にとって最高のヴィンテージ。日照時間が長く、熟成度が高く、酸と果実のバランスが文句の付けようがない程取れている。美しい質感と果実のヴォリュームがあり、ある意味ワインが造りやすかったヴィンテージ。難しい問題は何も起きなかった。
*2016ヴィンテージ
とても悲しいヴィンテージ。霜、雹、湿度これらの影響によりミルデューが発生し、収穫量は考えられないほど少量だったけれど、収穫された残りの葡萄のクオリティが想像以上に高く、ワインが素晴らしいバランスに仕上がった年。最も豪華でグラマラスな品質を得られたヴィンテージのひとつ。
*2017ヴィンテージ
とてもフレッシュな果実とスルスル飲める質感で飲みやすい、心地良いヴィンテージ。1年を通じて良好な天候にも恵まれ、良い意味で畑に手を掛け過ぎなくて良かった。熟度はそれほど高くないものの、果実、酸のバランスが取れたワインで、今飲むのであればこのヴィンテージのバランスは、かなりいい驚きを与えてくれると思う。
*2018ヴィンテージ
太陽のヴィンテージ。世界的な猛暑に見舞われた最初のヴィンテージという印象が強い年。収穫は40日間、醸造は4ヶ月間。ワインは非常に豊かで申し分ないクオリティなものの、タンニンは例年より硬く、少々待つ忍耐力が必要。
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